無料ブログはココログ

« 太陽を求めて放浪した話。 前編。 | トップページ | いつまでも放浪していた話。 »

2010年11月 7日 (日)

太陽を求めて放浪した話。後編。

そのキャンベラを発った日はとんでもない大雨の日でしてね。

次の目的地はビクトリア州のスワンヒル(Swan Hill)

キャンベラからは多少距離があるので、今日は中間地点のヘイ(Hay)という町まで行きましょう。

    

スタートハイウェイ(Sturt HWY)はシドニーとアデレードを結ぶ幹線道路ですけどね。

マレー川(Murray River)の支流であるマランビジー川(Murrumbidgee River )に沿って走っているんですよ。

ヘイに向かって走れば走るほど雨脚は強くなりましてね。

途中徐行を余儀なくされるほど。

  

なんとか昼過ぎにはワガワガ(Wagga Wagga)という町に到着しましてね。

昼食をとっていざ出発。

  

ところがね。

町から先のハイウェイはすべて封鎖。

  

冠水したみたいですよ。

  

戻ろうにもね。

ここまで通ってきた道も封鎖。

  

まさしく八方塞がりですよ。

 

ここに泊まればいいじゃない。

  

水が引くのを待ちましょうよ。

   

ツーリストインフォメーションで教えてもらったキャラバンパークの名前はね。

   

Wagga Wagga Beach Caravan Park

   

ワガワガはニューサウスウェールズ州の内陸の町ですよ。

  

なぜ故にBeach

   

レセプションで聞いてみるとね。

キャラバンパークのすぐ横にはマランビジー川。

その川原がビーチのようになっていて子供たちには人気があるとのこと。

   

なるほど。

   

大雨ですけど大丈夫ですか?

  

チェックインの手続きも終わってね。

  

パーク内の地図で我々が滞在するキャビンの位置と、レセプションからのアクセスを説明してくれる女性。

  

あなたたちのキャビンはここ。

   

川のすぐ横だけどね。

  

水位はまだ低いから大丈夫。

   

本当ですか?

   

結構降りましたよ。

多少弱まったとはいえね。

まだ降ってるし。

  

ここまでの道中でね。

いろいろ見てきましたよ。

   

道路の横を滝のように流れる水とか。

   

溢れそうな川とか。

  

もう溢れちゃった川とか。

  

現にね。

   

道路は封鎖される事態ですよ。   

   

それでも今はね。

この女性を信じるしかないんですよ。

このキャビンだってね。

キャンセルによって一つだけ空いていたわけだし。

他の宿泊施設だってね。

動けなくなった旅行者でいっぱいになることは容易に想像できますよ。

   

もう車中泊なんてイヤ。

   

キャビンに行ってみるとね。

  

なるほど。

   

川のすぐ横ですな。

   

15102010_wagga_wagga_6    

    

あきらかに普段は川じゃないところが川になっていますよ。

   

大丈夫ですか?

  

水位はまだ低いとおっしゃっていましたよ。

  

大丈夫でしょう。

   

それよりもね。

雨も弱まってきているし。

外は十分明るいし。

  

何か見所はありませんか?

  

この町には。

  

とはいえ時間は夕方と呼ばれる頃合となっていましてね。

こんな田舎町の見所はすでに閉館となっている時間。

  

奥様がツーリストインフォメーションからもらってきたパンフレットの中にね。

鉄道博物館(Rail Heritage Museum)というものがありましてね。

   

魅力的じゃないの。

  

でもどうせ4時か5時で閉館だろ。

  

パンフレットには開館時間載っていますか?

  

開館時間。

  

Mondays 10am to 2pm

   

はい?

   

私の稚拙な英語力で理解したところですね。

  

開館時間はね。

  

月曜日の午前10時から午後2時まで。

   

のみ。

     

なんですか?

  

これは。

  

超ピンポイント営業。

  

暗くなるころには再び雨脚も強まりましてね。

   

奥様。

  

これは明日も道路は封鎖されたままじゃないですかね。

   

もう一泊しましょうか?

   

道路の状況は携帯から常時チェックすることができるんですけどね。

  

夜半を超えるころになっても封鎖されたまま。

   

朝一で道路状況を確認した上でね。

この町を離れるか、もう一泊するか決断するということになったんだけどね。

   

気持ちの上では98%もう一泊。

  

   

翌朝。

  

ほぼ延泊するつもりで眠りこけていたんですけどね。

繰り返されるノックの音で目が覚めまして。

時計を見ると7時をまわったところ。

  

我々にとっては思いっきり早朝ですよ。

  

なんですか?

  

こんな時間に。

  

玄関先にはトランシーバーを手にしたおっさんが一人。

  

いますぐ逃げろ。

  

寝起きの頭でもね。

その言葉だけですべてを理解しましたよ。

  

川が溢れるんだな。

  

16102010_wagga_wagga

        

昨日見えていた看板が完全に水没しましたね。

一晩で水位が2m近く上がりましたよ。

   

奥様。

  

逃げろ!

    

朝が弱い奥様も一発で状況を理解しましてね。

外に出てみるとブルドーザーは走り回ってるわ、消防団の人たちは大勢いるわで。

     

キャラバンパークのキャビンにはね。

キッチンと調理器具、食器等が備え付けてありましてね。

チェックアウト時にはすべて洗ってきれいにするのがルールなんですよ。

   

昨夜の夕食後には9割がた延泊するつもりだった我々。

明日洗えばいいやと汚れた食器はシンクに放置されたまま。

  

逃げますよ。奥様。

  

待って。

  

まだ食器が。。。

  

って奥様。

   

避難ですよ。

  

文字どおり車に荷物を放り投げてね。

寝巻きのまま飛び乗ってね。

     

夜逃げ状態。  

  

ところどころ冠水していたものの、道路は開通しておりまして。

ビクトリア州はスワンヒル(Swan Hill)を目指すわけですけどね。

  

一泊したもののキャラバンパークに缶詰状態となっていたワガワガという町についてはね。

  

いまだに謎のまま。

   

その日の夕刻。

スワンヒルで観たニュースが報じていたのはね。

  

ワガワガで洪水。

  

大洪水となったみたいですよ。

我々が町を離れたあと。

   

  

昨日ワガワガのツーリストインフォメーションで聞いたのはね。

  

過去15年間ひどい干ばつに苦しんできたと。

それが、今年の頭から雨が降り続いてこの有様なんだと。

   

まったく降らないか、降れば大洪水。

     

地球のリズムが狂っていますよ。

  

この旅行でね。

7000キロ運転しましたけどね。

どこもかしこも工事だらけ。

都市部はもとより。

都市と都市を結ぶハイウェイの人里離れたところでもね。

  

工事工事工事。

  

景気がいいからなのか。

はたまたリーマンショック後の景気対策の名残なのか。  

  

オーストラリア大陸を一周するハイウェイが国道1号線。

中でもシドニーとブリスベンを結ぶ区間は国内でも有数の主要幹線道なんですけどね。

都市部以外は片側一車線の相互通行なんですよ。

一定区間ごとに追い越し車線が現れるんですけどね。

    

10年振りにこの区間を運転してみるとね。

片側二車線の区間がずいぶんと増えていましてね。

さらに、現在片側一車線の区間でも二車線化の工事が進められているんですよ。

    

悲惨な光景ですよ。

山間部に道路を作るわけですからね。

工事に伴うのは大規模な森林伐採。

     

何十年も何百年もそこにあった木々を切り倒されて、丸坊主にされた山や森林にはね。

もはや雨を蓄える力は残っておらず。

土砂を削り取った茶色い水が一気に大量に河川に流れ込む事態となるわけですよ。

   

オーストラリアは自然を大切にする国。

  

そう思っていたんですけどね。

   

だからこそ、日本の捕鯨廃止を求めて国際司法裁判所に提訴したことも正論だと思っていたんですよ。

捕鯨の是非じゃなくてね。

自然を大切にする国と国民が抱く当然の感情なのだと納得していたんですよ。

    

人の国のインフラ整備に口を挟むつもりはありませんけどね。

いたるところで目にする工事は、まるで新興国や発展途上国の勢いに任せた開発工事。

その下品な工事が度重なる災害の片棒を担いでいることは明白なわけですよ。

   

大変だったとはいえ、我々は一介の旅行者として洪水に遭遇しただけであってね。

そこは自分の生活圏内から1000キロ以上離れた地なわけで。

  

あくまでも対岸の火事。

    

不謹慎ですけどね。

    

災難は実際に自分の身に降りかかってくるまでは対岸の火事。

    

このままでいいんですかね?

   

対岸の火事が国中に延焼するのもね。

そんなに遠い未来の話ではないなと思いましたよ。

  

度重なる雨にやられた旅でしたけどね。

  

いろいろと考えさせてくれる雨でもありましたな。 

  

  

05102010_newcastle_31_5

« 太陽を求めて放浪した話。 前編。 | トップページ | いつまでも放浪していた話。 »

コメント

どうも、ご無沙汰です。
楽しそうな旅行の話で自分も旅行に行きたくなりました。
ちなみに僕も雨男なんですよ(汗)

どもども、無事でよかったね。

うん良かった

ずいぶんと社会派のお話しですなぁ
違うのに進入して読んでんのかと思っちゃったよ
しかしまぁ貴重な体験をしましたな
こちらはAPEC警備で一日12時間労働ですよ

コブ鯛の相方君。
雨にやられて苦労したほうが思い出には残るよな。
やられている中で、なんとか楽しもうとするし。

きーちゃん。
久しぶりじゃないの。良かった良かった。
  
兄貴。
一昔前と違って、この国にはのんびり感なんてもう残ってないみたいですわ。バブルに浮かれて繰り返される自然破壊。
今年も大規模な山火事にやられると思いますよ。
  
みなさま。
APECご苦労様です


今回は、いいblogじゃんね

ヘッポコシェフ夫妻は
NZに行ったら良いと思うんだなぁ

嫁はNZでワーホリ済み。
ここからなら国内旅行みたいなもんだからね。
そのうち行きたいんだけど。

この記事へのコメントは終了しました。

« 太陽を求めて放浪した話。 前編。 | トップページ | いつまでも放浪していた話。 »