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2010年11月28日 (日)

私の記憶が確かならば。。。

オーストラリアのテレビ事情。

  

基本的なテレビ局は5局。

デジタル化によって、各局チャンネル数を3つか4つほど増やしたのでね。

チャンネル数こそ5から22ほどに増えたんですけどね。

同系列のチャンネルでは、同じ番組を放映していることが多いものでね。

デジタル化によって番組数が大幅に増えたということもなく。

   

さらにね。

放映されている番組もつまらないものばかりでね。

  

ニュース、スポーツ中継以外だとね。

  

ひたすらアメリカのテレビドラマ。

もともと、シーズン7とかシーズン8なんてしつこい上にね。

  

再放送率高し。

   

バラエティとなると壊滅的でね。

  

基本的にはね。

   

パクリ。

  

厳密に言うとパクリじゃないんだけどね。

イギリスやアメリカでヒットした番組の版権を買って、そのオーストラリア版をつくるというね。

日本でもあった ”クイズ・ミリオネア” みたいなパターンですな。  

   

例えばね。

  

全米を席巻した素人参加型ダイエット番組 ”Biggest Loser” のオーストラリア版。

ここオーストラリアには我々アジア人の想像をはるかに超えた体型をされた方が多くいらっしゃいますからね。

   

大企業のCEOが身分を隠してフランチャイズの現場に潜入する、アメリカ発の番組 ”Undercover Boss” のオーストラリア版。

  

イギリス発の素人参加型料理番組 ”Master Chef” のオーストラリア版。

オーストラリア版は壮絶な人気を誇り、それに伴ってシェフと呼ばれる人々に注目が集まり、さらには料理をするということがちょっとしたブームになりつつあるこの頃。

  

そんな、ちょっとした料理ブームのこの頃にね。

  

満を持してチャンネル7が送り出した番組。

   

IRON CHEF AUSTRALIA。

   

日本が誇る ”料理の鉄人” オーストラリア版ですよ。

  

ちなみにね。

日本の”料理の鉄人”は、もちろん再放送ながらも放映されていましてね。

いまだに人気を誇った番組なんですよ。

  

一度アメリカに輸出されてね。

出演者の話す言葉をすべて英語に吹き替えてね。

さらにオーストラリアに輸出されてきた番組なのでね。

  

実況の福井アナウンサー、審査員の栗本慎一郎氏や細木数子氏などは流暢な英語を話しているわけですよ。

  

流暢な英語を話さない日本人である私はね。

      

これに英語の字幕を表示させて観るという、もう何が何だかわからない状態で観ているわけですよ。

  

そのなかでもね。

   

番組の顔でもある、鹿賀丈史氏だけは日本語を話していてね。

  

やはり、彼の強烈な個性は吹き替えてしまうと失われてしまうというのが、製作者側にも分かるんでしょうな。

  

言わずもがな”料理の鉄人”とはね。

鉄人と呼ばれる最高峰の料理人と、鉄人に勝るとも劣らない料理人との息をのむような真剣勝負が見所なわけですよ。

   

そんな鉄人のオーストラリア版ですよ。

料理ブーム、鉄人好きのオーストラリア国民だけでなく、日本人である私の期待も高まるというものですわ。

  

さて、第一回目の放映。

  

始まりましたよ。

  

IRON CHEF AUSTRALIA

  

若干セットが貧弱ですな。

  

ペラペラと喋っているおっさんは司会進行役みたいですね。

  

するとスーツを着たサラリーマン風の男は何ですか?

  

彼は時折奇声を上げながら奇妙な動きをされますが。

   

なんのつもりですか?

  

もしや。

  

鹿賀丈史役?

   

鉄人での鹿賀丈史氏はね。

   

彼が築いてきた個性に裏打ちされて成り立ったものであってね。

   

わけわかんない男が奇声を上げたり、奇妙な立ち振る舞いをするのとはまったく異なるんですよ。

     

頭にくるのがね。

  

微妙に日本人風。

   

馬鹿にするな。

  

でもまぁ。 

  

異国でつくられた番組だから。

  

しょうがない部分もありますわな。

  

真剣勝負に期待しましょう。

  

まがりなりにも、ここオーストラリアでシェフとして働く私。

  

そりゃ興味ありますよ。

  

オーストラリアの鉄人勝負。

  

さぁ。

  

鉄人の登場ですよ。

   

誰ですか?

   

彼はね。

  

一応プロのシェフみたいですけどね。

  

誰ですか?

  

そこらへんのカフェのキッチンにでもいるような男ですよ。

   

して挑戦者は?

  

誰ですか?

  

こっちはね。

  

完全に素人ですよ。

  

日本が誇る ”料理の鉄人” が。

  

息を呑むような戦いが。

  

普通の調理師と素人との戦い。

  

緊張感など伝わってくるはずもなく。

  

むしろ戦いはボロボロですよ。

  

後日観た回にいたってはね。

  

審査員が鉄人と呼ばれる男の皿を試食しようとして。

  

「鉄人の髪の毛が入っているわよ。」

  

ありえませんよ。

   

これってフジテレビから版権を買って制作していると思うんですけどね。

   

フジテレビ側はチェックしないんですかね。

    

なんて少々腹を立てながら画面を観るとね。

   

奇声を上げながら奇妙な動きをするサラリーマン風の男。  

  

  

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2010年11月14日 (日)

いつまでも放浪していた話。

一ヶ月間ほっつき歩いていたことからも分かると思うんですけどね。

  

仕事辞めました。

  

辞める。

  

と宣言したのは6月のことですよ。

  

もう少しだけ働いてくれ。

  

と言われましてね。

    

働き続けること三ヶ月。

9月に入ってから、ようやく解放されたわけですよ。

   

辞める直前にね。

ひょんなことから次の仕事のオファーをいただきましてね。

   

その昔、奥様はね。

地元の教会に顔を出していたことがあるんですよ。

英語の勉強だということで。

  

そこで知り合った方がですね。

奥様に電話をくれましてね。

  

新しくカフェを併設したファンクションセンターを始めるにあたってね。

寿司を作ってくれないかと。

  

同時にね。

シェフである私にもフルタイムで働いてもらえないかと。

   

  

オーストラリアではね。

     

新聞やインターネットなどのメディアに出てくる求人は、実際の求人数の半分にも満たないと言われていましてね。

その半数以上のメディアに出てこない求人と言うのはね。

いわゆる口コミなんですよ。

  

誰かいい人いない?

  

職種を問わず、多くのポジションが”誰かいい人いない?”で決まっているみたいで。

  

基本的に人材を一から育てることはしない国。

空いたポジションは、しかるべき資格、技術、経験を持った人材で補充するわけですよ。

   

それにはね。

  

誰かいい人いない?

  

がてっとり早いみたいで。

   

まるっきり一から始めるビジネスでね。

オープン予定は10月の半ばであると。

   

それなら旅行には行けますな。

  

三週間の予定で旅行に行ってきますよ。

   

  

オーストラリアではね。

   

新規ビジネスが予定通りスタートすることは、100%近くないんですよ。

飲食業では特に。

改装工事が大幅に遅れる。

役所からの許可が下りない。

などの理由からなんですけどね。

  

一ヶ月程度なら日常茶飯事。

六ヶ月、一年オープンできないなんていう、経営者からしてみたら死活問題となりそうなことも。

   

三週間の予定でといいつつもね。

旅先から連絡を取り合えば、オープン間近までたっぷり旅行ができるなと。

   

予想通りね。

旅先からかけた電話からは、オープンが多少遅れるとの知らせが。

  

我々は全然気にしませんよ。

   

そんなわけでね。

三週間の旅行の予定は徐々に伸びていったわけですよ。

   

ビクトリア州はスワンヒル(Swan Hill)

旅も終盤にさしかかっていましてね。

この先どうしたものかと案じていたんですよ。

  

そろそろ帰らないとまずいですね。

    

がんばれば一日でアデレードに帰れますよ。

  

なんてことを考えていたんですけどね。

   

天気もよく、気温も上がった昼下がり。

予約したマレー川クルーズにまで時間があるのでね。

町をぶらぶらしながら時間をつぶしていたわけですよ。

  

気持ちのいい日でね。

   

もうすっかり春ですな。

  

ふと携帯電話を見るとね。

不在着信と留守電が。

   

あれ。

  

さっき運転してたときかな。

  

と思いつつも留守電の確認。

   

留守電にはね。

  

新しくボスとなるはずの男の声が。

   

曰く。

   

ホリデーを満喫しているか?

  

おかげさまで。

  

ビジネスの話なんだが。

  

はいはい。

  

実はいくつか問題があって。

   

やっぱり。

  

すぐにはオープンできそうにない。

  

いいですよ。予想していましたから。

  

しばらくホリデーを楽しんでくれ。

  

最初からそのつもりですよ。

    

オープンするのは。。。

   

いつですか?

   

May be next year !

   

はい?

   

See ya!

   

See ya ぢゃねーよ!

    

この先二ヶ月無職は無理ですよ。

    

   

オーストラリアではね。

  

仕事のオファーをもらってもね。

実際に働き始めるまでは安心するなと言われていましてね。

今回のように仕事のポジション自体が消滅してしまったり。

連絡しますと言われたきり、音信不通になったりと。

  

ビクトリア州の田舎町でね。

   

春先ののどかな陽気の中でね。

   

リバークルーズの目前でね。

   

お先真っ暗。

   

結構といいますかね。

かなり使っちゃいましたよ。

  

お金。

  

軽く海外旅行できるぐらいは使っちゃいましたよ。

  

次の仕事が決まっていたので。

    

結局ね。

開き直った我々はね。

さらにビクトリア州のグランピアンズ国立公園(Grampians National Park)にてね。

たっぷりとキャンプしてからアデレードに帰ったわけですけど。

  

帰ってきてからね。

新しくボスとなるはずだった夫婦に話を聞いてみるとね。

  

アスベストが出てきちゃった。

  

改装工事でアスベストが出てきてね。

ビジネスを始めるにはね。

完全に除去をするか、養生した上で高額な保険に加入するしかない。

  

だからビジネスはあきらめる。

    

とのことで。

  

仕事がなくなったわれわれよりもね。

ビジネスを始めようと、すでに投資を始めた彼らも大変ですよ。

   

これから夏を迎えるアデレード。

求人はそれこそ山のようにあるんですけどね。

  

以前働いていたビストロではなく、ファインダイニングやホテルで働きたいと思いましてね。

そのような求人に履歴書を出しまくるんですけどね。

前述のように、空いたポジションはしかるべき資格、技術、経験を持った人材を補充するのでね。

面接のオファーすら来ないありさまで。

  

少しあせり始めた二週間後。

ビストロで働くかと思い始めたころにですね。

   

一応名の通ったホテルからオファーを頂きましてね。

  

先週から働き始めたわけですわ。

   

これで新年が迎えられますよ。

  

  

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2010年11月 7日 (日)

太陽を求めて放浪した話。後編。

そのキャンベラを発った日はとんでもない大雨の日でしてね。

次の目的地はビクトリア州のスワンヒル(Swan Hill)

キャンベラからは多少距離があるので、今日は中間地点のヘイ(Hay)という町まで行きましょう。

    

スタートハイウェイ(Sturt HWY)はシドニーとアデレードを結ぶ幹線道路ですけどね。

マレー川(Murray River)の支流であるマランビジー川(Murrumbidgee River )に沿って走っているんですよ。

ヘイに向かって走れば走るほど雨脚は強くなりましてね。

途中徐行を余儀なくされるほど。

  

なんとか昼過ぎにはワガワガ(Wagga Wagga)という町に到着しましてね。

昼食をとっていざ出発。

  

ところがね。

町から先のハイウェイはすべて封鎖。

  

冠水したみたいですよ。

  

戻ろうにもね。

ここまで通ってきた道も封鎖。

  

まさしく八方塞がりですよ。

 

ここに泊まればいいじゃない。

  

水が引くのを待ちましょうよ。

   

ツーリストインフォメーションで教えてもらったキャラバンパークの名前はね。

   

Wagga Wagga Beach Caravan Park

   

ワガワガはニューサウスウェールズ州の内陸の町ですよ。

  

なぜ故にBeach

   

レセプションで聞いてみるとね。

キャラバンパークのすぐ横にはマランビジー川。

その川原がビーチのようになっていて子供たちには人気があるとのこと。

   

なるほど。

   

大雨ですけど大丈夫ですか?

  

チェックインの手続きも終わってね。

  

パーク内の地図で我々が滞在するキャビンの位置と、レセプションからのアクセスを説明してくれる女性。

  

あなたたちのキャビンはここ。

   

川のすぐ横だけどね。

  

水位はまだ低いから大丈夫。

   

本当ですか?

   

結構降りましたよ。

多少弱まったとはいえね。

まだ降ってるし。

  

ここまでの道中でね。

いろいろ見てきましたよ。

   

道路の横を滝のように流れる水とか。

   

溢れそうな川とか。

  

もう溢れちゃった川とか。

  

現にね。

   

道路は封鎖される事態ですよ。   

   

それでも今はね。

この女性を信じるしかないんですよ。

このキャビンだってね。

キャンセルによって一つだけ空いていたわけだし。

他の宿泊施設だってね。

動けなくなった旅行者でいっぱいになることは容易に想像できますよ。

   

もう車中泊なんてイヤ。

   

キャビンに行ってみるとね。

  

なるほど。

   

川のすぐ横ですな。

   

15102010_wagga_wagga_6    

    

あきらかに普段は川じゃないところが川になっていますよ。

   

大丈夫ですか?

  

水位はまだ低いとおっしゃっていましたよ。

  

大丈夫でしょう。

   

それよりもね。

雨も弱まってきているし。

外は十分明るいし。

  

何か見所はありませんか?

  

この町には。

  

とはいえ時間は夕方と呼ばれる頃合となっていましてね。

こんな田舎町の見所はすでに閉館となっている時間。

  

奥様がツーリストインフォメーションからもらってきたパンフレットの中にね。

鉄道博物館(Rail Heritage Museum)というものがありましてね。

   

魅力的じゃないの。

  

でもどうせ4時か5時で閉館だろ。

  

パンフレットには開館時間載っていますか?

  

開館時間。

  

Mondays 10am to 2pm

   

はい?

   

私の稚拙な英語力で理解したところですね。

  

開館時間はね。

  

月曜日の午前10時から午後2時まで。

   

のみ。

     

なんですか?

  

これは。

  

超ピンポイント営業。

  

暗くなるころには再び雨脚も強まりましてね。

   

奥様。

  

これは明日も道路は封鎖されたままじゃないですかね。

   

もう一泊しましょうか?

   

道路の状況は携帯から常時チェックすることができるんですけどね。

  

夜半を超えるころになっても封鎖されたまま。

   

朝一で道路状況を確認した上でね。

この町を離れるか、もう一泊するか決断するということになったんだけどね。

   

気持ちの上では98%もう一泊。

  

   

翌朝。

  

ほぼ延泊するつもりで眠りこけていたんですけどね。

繰り返されるノックの音で目が覚めまして。

時計を見ると7時をまわったところ。

  

我々にとっては思いっきり早朝ですよ。

  

なんですか?

  

こんな時間に。

  

玄関先にはトランシーバーを手にしたおっさんが一人。

  

いますぐ逃げろ。

  

寝起きの頭でもね。

その言葉だけですべてを理解しましたよ。

  

川が溢れるんだな。

  

16102010_wagga_wagga

        

昨日見えていた看板が完全に水没しましたね。

一晩で水位が2m近く上がりましたよ。

   

奥様。

  

逃げろ!

    

朝が弱い奥様も一発で状況を理解しましてね。

外に出てみるとブルドーザーは走り回ってるわ、消防団の人たちは大勢いるわで。

     

キャラバンパークのキャビンにはね。

キッチンと調理器具、食器等が備え付けてありましてね。

チェックアウト時にはすべて洗ってきれいにするのがルールなんですよ。

   

昨夜の夕食後には9割がた延泊するつもりだった我々。

明日洗えばいいやと汚れた食器はシンクに放置されたまま。

  

逃げますよ。奥様。

  

待って。

  

まだ食器が。。。

  

って奥様。

   

避難ですよ。

  

文字どおり車に荷物を放り投げてね。

寝巻きのまま飛び乗ってね。

     

夜逃げ状態。  

  

ところどころ冠水していたものの、道路は開通しておりまして。

ビクトリア州はスワンヒル(Swan Hill)を目指すわけですけどね。

  

一泊したもののキャラバンパークに缶詰状態となっていたワガワガという町についてはね。

  

いまだに謎のまま。

   

その日の夕刻。

スワンヒルで観たニュースが報じていたのはね。

  

ワガワガで洪水。

  

大洪水となったみたいですよ。

我々が町を離れたあと。

   

  

昨日ワガワガのツーリストインフォメーションで聞いたのはね。

  

過去15年間ひどい干ばつに苦しんできたと。

それが、今年の頭から雨が降り続いてこの有様なんだと。

   

まったく降らないか、降れば大洪水。

     

地球のリズムが狂っていますよ。

  

この旅行でね。

7000キロ運転しましたけどね。

どこもかしこも工事だらけ。

都市部はもとより。

都市と都市を結ぶハイウェイの人里離れたところでもね。

  

工事工事工事。

  

景気がいいからなのか。

はたまたリーマンショック後の景気対策の名残なのか。  

  

オーストラリア大陸を一周するハイウェイが国道1号線。

中でもシドニーとブリスベンを結ぶ区間は国内でも有数の主要幹線道なんですけどね。

都市部以外は片側一車線の相互通行なんですよ。

一定区間ごとに追い越し車線が現れるんですけどね。

    

10年振りにこの区間を運転してみるとね。

片側二車線の区間がずいぶんと増えていましてね。

さらに、現在片側一車線の区間でも二車線化の工事が進められているんですよ。

    

悲惨な光景ですよ。

山間部に道路を作るわけですからね。

工事に伴うのは大規模な森林伐採。

     

何十年も何百年もそこにあった木々を切り倒されて、丸坊主にされた山や森林にはね。

もはや雨を蓄える力は残っておらず。

土砂を削り取った茶色い水が一気に大量に河川に流れ込む事態となるわけですよ。

   

オーストラリアは自然を大切にする国。

  

そう思っていたんですけどね。

   

だからこそ、日本の捕鯨廃止を求めて国際司法裁判所に提訴したことも正論だと思っていたんですよ。

捕鯨の是非じゃなくてね。

自然を大切にする国と国民が抱く当然の感情なのだと納得していたんですよ。

    

人の国のインフラ整備に口を挟むつもりはありませんけどね。

いたるところで目にする工事は、まるで新興国や発展途上国の勢いに任せた開発工事。

その下品な工事が度重なる災害の片棒を担いでいることは明白なわけですよ。

   

大変だったとはいえ、我々は一介の旅行者として洪水に遭遇しただけであってね。

そこは自分の生活圏内から1000キロ以上離れた地なわけで。

  

あくまでも対岸の火事。

    

不謹慎ですけどね。

    

災難は実際に自分の身に降りかかってくるまでは対岸の火事。

    

このままでいいんですかね?

   

対岸の火事が国中に延焼するのもね。

そんなに遠い未来の話ではないなと思いましたよ。

  

度重なる雨にやられた旅でしたけどね。

  

いろいろと考えさせてくれる雨でもありましたな。 

  

  

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2010年11月 4日 (木)

太陽を求めて放浪した話。 前編。

今年はオーストラリア全土で雨が多い年でね。

Driest Stateである南オーストラリア州でも雨の多い冬となりまして。

冬の終わりから春先にかけては、各地から洪水のニュースも。

  

普段から何かと雨にやられる我々夫婦。

   

もちろん今回もやられましたよ。

  

アデレード出発は小雨の中。

   

こんなもんでしょう。

  

それでも、ゴールドコーストに到着するまでの四日間。

時折雨は降ったものの、車での移動中や夜寝ている間に限られましてね。

   

雨夫婦である我々にしては上出来じゃないすか?

  

なんて話をしていたんですよ。

  

さて、ゴールドコースト。

   

多くの人がね。

   

”オーストラリア”と聞いて思い浮かべるもの。

   

ハーバーブリッジとオペラハウス。

  

カンガルーとコアラ。

  

それにね。

  

ゴールドコーストの雲ひとつない青空と、どこまでも続くビーチ。

     

晴天の日は年間300日以上と言われていましてね。

一年のうち八割は晴れですよ。

     

奥様にとってゴールドコーストとはどんなところですか?

   

どんよりしたところ。

   

ゴールドコーストに滞在した三日間のうち、二日間は低い雲に覆われた曇天。

時折小雨もパラパラと。

   

しかもね。

今年の5月に日本に帰国した際にね。

乗り継ぎ地であるゴールドコーストに三日ほど滞在したんですよ。

そのときはね。

三日間を通して曇天もしくは雨。

  

天気が悪くて肌寒い海辺の街。

   

それがゴールドコーストと聞いて奥様が思い浮かべるものですよ。

  

テーマカラーは間違いなくグレーですな。

     

   

バイロンベイ(Byron Bay)はゴールドコーストから車で一時間ほどのニューサウスウェールズ州北部の町。

オーストラリアの東端でもあるこの町。

ヒッピーの町と称されることも多いんですけどね。

近頃はすっかりツーリストの町、リゾートの町となったものの、町を流れるのは昔のままのゆるい時間。

  

ここは私がオーストラリアで最も好きな場所。

  

日頃からね。

  

奥様にね。

  

東海岸にはバイロンベイという町がありましてね。

  

それはそれは素晴らしいところですよ。

   

何がそんなに素晴らしいの?

  

言葉では表すことのできない素晴らしさですよ。

  

ぜひ体感していただきましょう。

  

バイロンベイ滞在は三日間。

   

奥様にとってバイロンベイとはどんなところですか?

   

どんよりして人がいっぱいいるところ。

   

天候が芳しくなかったばかりか、スクールホリデーと重なったおかげで、町のはるか外から渋滞が起こるありさま。

  

天気が悪くて肌寒くて人がいっぱいいる海辺の町。

  

それがバイロンベイと聞いて奥様が思い浮かべるものですよ。

  

バイロンのテーマカラーも間違いなくグレーですな。

       

  

バイロンを発って、クレセントヘッド(Cresent Head)に到着する頃には雨も本格的になってきましてね。

クレセントヘッドは私のわがままで決まった滞在先ですよ。

  

波乗りしたい。

  

海辺でキャンプでもしてさ。

のんびりと釣りでもしましょうよ。

  

と言って奥様を連れてきた場所ですよ。

  

ホリデーコーストと呼ばれるようにね。

シドニーあたりに住む人々が夏の太陽を楽しむ海辺の町。

とはいえ、クレセントヘッドには小さな村があるだけですけどね。

  

それはそれはきれいなビーチがありますよ。奥様。

  

クレセントヘッド滞在は三日間。

   

奥様にとってホリデーコーストとはどんなところですか?

  

どんよりして大雨が降る場所。

   

激しい風雨が滞在中続いてね。

  

もはやストームですよ。

  

海は洗濯機状態でクローズアウト。

  

海以外には何もない、というか海を含めたアウトドア以外には何もないホリデーコースト。

  

雨なんか降ったらね。

  

やることありませんよ。

  

何か遊ぶものは持ってきてないんですか?

  

こういうときに備えて。

  

トランプとか。

  

バックギャモンとか。

  

旅行といえば、いつもいつも雨にやられるんだから。

そろそろ学習してもいいころ。

  

何か遊ぶものはありますか?

  

はい。

  

フリスビー。

   

それは屋外で遊ぶものですから。

  

それだけですか?

    

遊び道具は。  

   

クレセントヘッドを発つという日。

キャンプ生活なのでね。

テントや椅子、テーブルなどを畳んで車に積み込むというめんどくさい作業があるんですけどね。

  

朝から大雨ですよ。

  

もう一泊しますか?

  

ずぶ濡れになりますよ。

  

こんな中でパッキングしたら。

  

結局ね。

もう一泊したところで、翌日も大雨っぽいこと。

もう一泊したところで、このストームの中では暇を持て余すこと。

   

というわけでね。

多少は雨脚が弱まったとはいえ、降り続ける雨の中でパッキング。

  

結果はね。

  

ずぶ濡れとなったテントその他のキャンプ用品を積んだおかげで車内もずぶ濡れに。

  

濡れて湿った車内はね。

かぐわしい香りを発しましてね。

その後の行程で、しばらくの間我々を苦しめたわけですよ。

  

しかもね。

パッキング作業中にポケットに入れていた携帯電話がね。

  

ずぶ濡れとなった挙句。

そっと息をひきとりまして。

  

降り続く大雨と吹き続ける強風に、いまにも溢れそうな河川。

  

それがホリデーコーストと聞いて奥様が思い浮かべるものですよ。

  

テーマカラーは限りなく黒に近いグレーですな。

       

     

雨から逃げるようにして向かったニューキャッスル(Newcastle)では珍しく晴天続き。

続くシドニーでも曇りと晴れを繰り返し、天気はまあまあ。

  

ブルーマウンテン(Blue Mountain)と首都キャンベラ(Canberra)では雨にやられたものの許容範囲内。

どちらもテーマーカラーはグレーとなりましたが。

  

クレセントヘッドではコテンパンにやられましたからね。

もうないんじゃないんですか。

  

雨は。

  

ところがね。

   

キャンベラを発つころから新しい話は始まりまして。。。

  

後編へ続きますよ。

  

  

  

   

   

昨日ニュースで報じられたアンディ・アイアンズの訃報。

サーフィン大国オーストラリアでは、各局のニュースで流れまして。

彼の死因については、早くもいろいろな憶測が流れていますけどね。

   

サーフィン界は一人の偉大なサーファーを失った。

  

事実はそれだけですよ。

  

故人のご冥福をお祈り申し上げます。

  

  

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2010年11月 1日 (月)

アドベンチャーを求めて放浪した話。

ニューサウスウェールズ州の北部に広がるTweed Valley

  

オーストラリアの中で、最も好きな場所でしてね。

NightcapBorder RangesMebbinMt.Warningなど、点在する国立公園はいずれも世界遺産に登録された温帯雨林の深い森に囲まれておりまして。

  

かのニンビン(Nimbin)Tweed Valleyに存する村の一つ。

  

1970年代にAquarius Festivalが開かれてニンビンの歴史がスタートしたのも。

ここがヒッピーの聖地となったのも。

多くのアーティストがここに移り住んできたことも。

  

すべてはTweed Valleyの自然に魅せられてのことであってね。

  

とかく、路上でものを売る人々ばかりが話題になりがちなニンビン。

  

それだけではないんですよ。

  

この息を呑むような大自然をね。

ぜひ奥様にも体感していただこうと。

2000キロ離れたアデレードからやってきたわけですよ。

         

Tweed Valleyの中でも、ひときわ高くそびえる休火山、マウント・ウォーニング(Mt.Warning)

楯状火山の山頂からはバイロンベイ(Byron bay)や遠くゴールドコーストまで望むことができましてね。

  

ぜひ奥様にも登っていただきましょう。

  

目の覚めるような景色を奥様にも見ていただきましょう。

    

頂上までどれくらいかかるの?

  

私は過去に登ったことがありましてね。

   

きつかったのは最後の山頂アタックのみ。

  

だったような記憶が。

    

楯状火山の山頂部はね。

がけ状の岩場に鎖が打ってあってね。

その鎖につかまりながら、岩場をへばりつくように登って山頂へといたるんですよ。

最後の鎖セクション以外はそんなにキツイもんでもないですよ。

  

だったような記憶が。

    

何しろワーホリメーカーとしてゴールドコーストに滞在していたのは、もう10年以上も前の話。

観光で来てマウント・ウォーニングアタックしたのですら、2003年頃の話なので7年も前の話。

  

正直覚えていませんよ。

   

二時間あれば頂上まで行って帰ってこれるんじゃないすか?

   

たぶん。。。

  

奥様。

  

このウォーニング山アタックを試みるパーティーのリーダーは、経験者の私ということでよろしいですね。

   

よろしいですね。

   

ウォーニング山の登頂口からは、さほど遠くない山の中でベースキャンプを張っていた我々。

山頂アタックを試みる日は珍しく二人とも早く起きましてね。

  

入念な準備に時間をかけましょう。

   

ゴールドコーストで手に入れた日本語新聞にはまること二時間弱。

   

いかんいかん。

  

山頂アタックの入念な準備を。

    

朝ごはん。

    

山頂アタックの入念な準備を。

    

うんこしてきます。

   

大事ですよ。

  

それは。

  

そんなこんなで入念な準備に時間を取られましてね。

意気揚々とベースキャンプを発ったのは午後になってから。

     

山道を屈強な四輪駆動車でウォーニング山に向かいますよ。

山々が連なるこのあたりでも、ウォーニング山は頭一つ飛び出していましてね。

  

奥様。あれが本日アタックを試みるウォーニング山ですよ。

  

到着した登山口には看板がありますよ。

    

登山路 往復8.8キロ 4~5時間

  

なんですか?

   

トレッキングコースの入り口には、たいてい所要時間が書いてあるんですけどね。

好奇心が小学生並みの我々には、その二倍程度の時間が必要なんですよ。

  

そもそも8.8キロなんて。

  

死んじゃうべな。

   

もう一つ看板がありますよ。

   

冬季は午後12時以降の登山禁止

  

ですと。

  

オーストラリアの東端であるバイロンベイは目と鼻の先。

標高1000mを超えるウォーニング山はオーストラリアで最初に日が昇る場所ともいわれていましてね。

裏返せば日が暮れるのもオーストラリアで最初ということですよ。

春先の今頃でも午後5時を過ぎるとかなり暗くなるんですよ。

   

今の時間は?

  

午後二時をまわったところですね。

    

登ったことあるんじゃないの?

    

なにがですか?

   

ありますよ。登ったこと。

  

何でも聞いてくださいよ。

    

8.8キロもあったら二時間で帰ってこれるわけないじゃないの。

  

なにがですか?

  

今から登ったら暗くなっちゃうじゃないの。

  

死んじゃうべな。

  

パーティーのリーダーである私は決断をしなければならないですよ。

ここで強いリーダーシップを発揮しないとね。

パーティーは全滅してしまいますよ。

  

断腸の思いで。

   

明日にしましょう。

  

明日出直しましょうよ。

早起きしてさ。

午前中に登山を開始しましょうよ。

今日のところはベースキャンプに戻ってさ。

明日のために入念な計画を練りましょうよ。

   

入念な計画。

  

明日の朝は日本語新聞禁止。

  

翌日。

  

昨日のミーティングで決めたように、日本語新聞は手にすることなく登山の準備をベースキャンプでたんたんと進める我々。

  

奥様。

  

準備はよろしいですか?

  

では出発しましょう。

   

登山口に到着したのはね。

  

午後1時をまわったところ。

   

昨日と一時間しか変わらないじゃないの。

   

おまけに晴天だった昨日とはうって変わって曇天。

いまにも降り出しそうな空にね。

  

どうする?

   

とりあえず登りましょう。

  

やばくなったら引き返せばいいんじゃないですか?

  

心配しなくても引き返すタイミングはリーダーが決めますから。

   

登りだして30分もするとね。

けっこう勾配はキツイですよ。

     

そんなにキツくないって言ってたよね?

  

なにがですか?

  

さらに登っていくとね。

登山道はかなり急となるうえに足元も岩だらけでかなりキツイ。

   

そんなにキツくないって言ってたよね?

   

なにがですか?

  

前はこんなにキツくなかったですよ。

  

私が登った7年前はね。

  

こんなにキツイ山じゃありませんでしたよ。

  

いつからこの山はこんなにキツくなったんですかね。

  

これも地球温暖化の影響ですかね。

  

私が登った7年前はね。

  

私は20代でした。

   

時計を見ると午後2時半。

時折小雨が降ったり、晴れ間が覗いたり。

   

ここでリーダーは決断を迫られましてね。

   

奥様。

  

午後3時半をもって下山としましょう。

  

いいですね。

  

あと一時間たったら山頂に着いていなくても下山しますよ。

  

一時間半も歩いて、早くもヘロヘロですけどね。

   

私はあと一時間たったら強制的に下山する道を選びますよ。

   

いいですね。

  

わがままは許しませんよ。

  

死んじゃうから。

  

あと一時間歩いても山頂に着かない山なんてね。

   

こっちから願い下げ。

    

どうにかこうにか山頂目前の鎖セクションにたどり着いた我々パーティー。

    

上を見上げるとね。

  

壁。

  

こんなに急だったっけ?

  

しかもね。

  

下から山頂は見えず。

  

鎖でよじ登るのってほんの少しだけって言ってなかった?

  

なにがですか?  

    

さあ、アタックを開始しますよ。

   

これはね。

  

かなりキツイですよ。

  

ゆっくりゆっくりと。

  

鎖をつかみながらよじ登っていく私。

  

先を登る奥様が振り返ってね。

  

私に向かって。

  

パーティーのリーダーである私に向かって。

  

なんで小鹿のようになってるの?

  

鎖を握った腕もね。

  

岩の隙間にかけた足もね。

  

産まれたての小鹿のようにプルプルと。

   

こんなにキツかったっけ?

  

ふと下を見るとね。

足元はすべて雲に覆われていて何も見えず。

我々のところまで霧が広がってきていますよ。

遠くからは雷鳴も。

  

死んじゃうべな。

   

三時間近く頂上を目指して登ってきましてね。

文字通り山頂は目と鼻の先ですよ。

あと一歩で息を呑むような景色が見れますよ。

    

鎖にぶら下がってプルプルしているリーダーはね。

決断を求められまして。

    

勇気ある撤退。

   

二時間近くかけて下山しましてね。

二人ともヘロヘロですよ。

   

ウォーニング山。

  

登頂ならず。

  

奥様。

  

私のオーストラリアで一番好きな場所の一つですよ。

   

ぜひ山頂からの景色は見てもらいたいですな。

  

またチャレンジしましょうよ。

  

でもね。

  

もう当分いいです。

  

どんぐらいキツイか忘れたころに再アタックしましょう。

    

7年後ぐらいに。

  

  

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